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墓場まで持って行く…というと人に言えない秘密のようだが、私にとってそういう一枚。

以前にも書いたことがあるが、本格的に洋楽を聴き出したのは Janet Jackson が最初である。その頃、兄の Michael Jackson は今のように神格化されておらず、むしろ最も逆風が吹いている頃で、耳にする機会はあまりなかった。(それ以前の小さい頃に”Rhythm Nation“のPVも印象に残ってはいたが)当時大好きな安室ちゃんも私淑するというジャネットなるものを聴いてみむとて聴くなり、というピュアで不純な入り方。

この世代では、島谷ひとみがアジアの亜麻色の髪のパピヨンになった”Doesn’t Really Matter“が収録された、本作の次のアルバム All for You のほうが売れたのだと思われるが、フッ切れてよく分からない露出欲と欲求不満感が爆発したそちらを聴く前に、ぜひ The Velvet Rope を聴いていただきたい。詳しくは解説を参照してもらう方がいいにせよ、若い頃のヒットと世間のイメージ、Jackson 家の一員であること等々と闘い苦しんできた末に生まれたこのアルバムは、それまでの作風を一線を画しただけでなく、その後の作品も含めた Janet Jackson の全ディスコグラフィーの中でも独特の位置を占めるものとなっている。

何よりサウンドである。17歳の時にこのアルバムを手にして17年が経ったわけだが、いつ何度聴いても古びない。専門的なことは分からないが、90年代にサンプリングを本格的に使って(売れて)いたのは Janet Jackson や Mariah Carey の楽曲だと思われる。本作で際立つのは、そのカッコ良さだ。例えば表題曲”Velvet Rope.” 下の動画では”Interlude – Twisted Elegance”の部分がないが、静かな始まりからこの曲に移り変わる時のゾワゾワ感と、この混沌にも近い音の絡み合いと調和が、今の私を生み出したと言ってよい。

あるいは”What About.”

私は、ポップ寄りの Janet よりも、こういう静けさと激しさが同居した感じが最も好き。”Velvet Rope”もそうだが、この時期はまだマイケルの楽曲との近さも分かりやすく感じられる(それが彼女の意向によるものなのかプロデューサーたちの意向によるものなのかは知らないけど)。

授業でも紹介したことがあるのは”Special.” 全体を貫くコンセプトである velvet rope をポジティブに解釈した曲と言っても良いが、迷いと内省を繰り返して、アルバムの最後でここに辿り着いているというのがまた良い。一枚のアルバムとしての完成度の高さでも群を抜く作品だと思うのだ。

私の周囲はHR/HM中毒者に毒されている雰囲気があるので、R&B や electronic jazz 陣営ももっとガンバらねば(何をかはともかく)。

Music talks.