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授業後のふり返り解説です。

第3回は”Unit 2 Our Bond with Animals”を読みました。みなさんを最も悩ませたのはUnit 2A: Song of the HumpbackのReading Comprehension、5問目だったようです。49行目のurgeが何を意味するのかを問うこの問題の予想分布は、

  • a. need (49%)
  • b. way (35%)
  • c. difficulty (3%)
  • d. ability (13%)

という内訳でした。49行目が含まれる段落を見てみます。

Another member of the research team, photographer Flip Nicklin, recalls a special moment he had while interacting with a humpback. While he was snorkeling some distance from the huge animal, it approached him until it was just a few meters away. It then gently carried Nicklin toward its eye with a flipper as if examining him. Apparently, the urge to understand a different species goes both ways. (p. 24)

「科学者たちにもわからないことがまだ沢山ある」という前の段落を受けての本文最終段落です。この段落では、研究チームのもう一人のメンバー、写真家のFlip Nicklinのエピソードが語られています。Unit 2Aは代名詞の指示対象に注意して読むことを求めていますが、heやhimがNicklinさんを指しており、itやthe huge animalが彼が遭遇したザトウクジラを指していることに注意して読んでみましょう。

読解のキーとなるのは、urgeが含まれる文の直前の3文目です。その前の文は、Nicklinさんがシュノーケリングしていると、そのザトウクジラがほんの数メートルのところまで近づいてきたという話です。”it approached him”の指示対象を間違えなければ、”just a few meters away”のイメージは難しくないでしょう。3文目のitもこのザトウクジラを指しています。文の根っこは”It gently carried Nicilin”です。ザトウクジラはNicklinさんをやさしく運んだ。どこに?”towards its eye”、つまりザトウクジラの目の方に。”with a flipper”、ヒレを使って。”as if examining him”のhimはNicklinさんを指しています。主語のザトウクジラが省略されていますが、「まるでNicklinさんを調べるかのように」ということですね。

文の根っこにgentlyを残したのは、Nicklinさんをどういう風に運んだのかが次の文の理解に重要だからです。「するとこのザトウクジラは、まるで彼を詳しく調べるかのように、ヒレでそっと自分の目のほうにNicklinを運んだのである」(ナウシカに対する王蟲の振る舞いを思わせます)。追い払うために、あるいは襲うために乱暴に扱ったわけではありません。何のためにでしょうか。Nicklinさん、つまり人間のことを理解したいと思うからではないか。著者はそう考えているわけです。しかし真偽のほどはわかりません。だから最後の文は”apparently”が付いて始まります。

最後の文の根っこは”the urge goes both ways”です。どんなurgeかというのが”to以下。もう説明は不要ですね。”goes both ways”の意味が取りにくかったと思いますが、前の段落で、クジラについて研究する理由を訊かれた研究者のJim Darlingが「人間は謎(に挑むの)が好きなのさ。知りたいんだ。以上」と答えていたことが鍵になります(このperiodの用法を問う問題の正解率もふるいませんでしたね。辞書で用法を確認しておくといいでしょう)。人間は人間でクジラに興味を持ち、知ろうとして研究を続けている。一方クジラも、出会った人間のことを自らそっと目のほうに運んで、人間のことを知りたがっているような行動を見せたという。人間からクジラ、クジラから人間、both waysはそういう理解しようとする矢印のことだと読み取れます。人間だけが一方的に知ろうとしているわけ(one way)ではないということですね。「どうやら、自分たちとは異なる種を理解しようとする気持ちはどちらも同じらしい」ぐらいでしょうか。

必要に迫られてというような話ではありませんが、選択肢の中で当てはまるのはそういうニーズ、求める気持ちということで、needが選ばれるというわけです。

ではまた次回。