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去年の年末に「赤めだか」(立川談春のエッセイ)のドラマをやっていて、卒論の添削に追われながら観ていた。

談々兄さんの借金を取り立てにちょいちょい現れるのが「番頭さん」(山内圭哉さん)だったり、「談かん」がたけし演じる談志に「ビートたけしの弟子になります」と言うくだりだったりを妻と楽しんでいたのだが、『赤めだか』で最も印象に残ったのは次の一節。

 翌日、談春は談志と書斎で二人きりになった。突然談志が、

「お前に嫉妬とは何かを教えてやる」

と云った。

「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。だがそんなことで状況は何も変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」(立川談春『赤めだか』扶桑社、2015年、強調は引用者による)。

デカルト『方法序説』のような明晰さ。行動を起こさずにぎゃーぎゃー騒ぐだけの「馬鹿」にはなりたくないものだ。現実と向き合って、やるべきこと、やりたいことをどんどんやっていこう。