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村田沙耶香さんの『コンビニ人間』を読んだ。受賞作よりも受賞作を選考委員がどう見てるのかが興味深くて、選評を読むのが主目的だったりするのだが。

アイロニカルに面白くは読めた。だが川上未映子さんや津村記久子さん、西村賢太さんらの受賞作を読んだ時のような感じを自分が持たないのは、自分が村田さんと同じ時代を生きてきて、コンビニでバイトをしていたこともあるからか、それとも。少なくとも選考委員の多くのような感想は私は持たなかった。(わかりやすく言えば暗黙の同調圧力がもたらす)「生きにくさ」と、押し付けられる「普通さ」がちょっとステレオタイプ的過ぎるようにも思う。

選考委員の川上弘美さんが「いい小説は、今まで誰も気づかなかった何かに、名前を与えてくれている」と書いていて、文学賞(特に芥川賞)とは概ね、そういう、人間・社会・言語の縁(へり)や襞をむき出しにしている作品を価値づけるものだと私も思ってきたのだが、『コンビニ人間』は少なくとも私にとっては既知の世界だったということかしら。舞台や登場人物の全く異なる作品を読んだら違う感想を持つかもしれない。ただ、読んでいて、もう一人同い年の本谷有希子さんの『異類婚姻譚』を未読だったことに気づいたのだが、たぶん根本的にこちらのほうが好みだろう。