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故あって、補部(Complements)について改めて勉強。ただし、今回は前段で、補部の説明に辿り着く前に時間切れ。

まず補部とは何か。

は、第1章(Pullum & Huddleston)において、統語論の基本概念として次の3つを導入する(Huddleston & Pullum (Ed.), pp. 20-26。以下は基本的にここからの引用によるまとめ。)。

  • 構成素構造(樹形図でその関係が表されるような、文を構成するまとまりとその構造)
  • 統語範疇
    • 語彙範疇: 名詞(N)、動詞(V)、形容詞(Adj)、副詞(Adv)、前置詞(Prep)、決定詞(D)、従属接続詞、等位接続詞、間投詞
    • 句範疇: 節(Clause)、動詞句(VP)、名詞句(NP)、名詞類(Nom)、形容詞句(AdjP)、副詞句(AdvP)、前置詞句(PP)、決定詞句(DP)
  • 文法構造(構成素が属するより大きな単位)と文法機能(構成素が、文法構造の中で果たしている特定の役割)

文法機能についてのみ例を挙げておくと、下の文の a birdthe car というまとまりはどちらも名詞句に属しているが、前者は動詞に対して「主語」という役割を果たしており、後者は「目的語」という役割を持っている。他方、2番目の文と3番目の文の下線部が持っている機能はどちらも「主語」であるが、2つ目ではそれが名詞句によって実現されており、3つ目では節によって実現されている。

  • A bird hit the car.
  • His guilt was obvious.
  • That he was guilty was obvious.

様々な句範疇内で同じように働く文法機能として、「主要部」と、その主要部に結びつく様々な「従属部」という区別がある。

主要部は、通常必ずなければならない要素で、その句の分布を決める際の主要な役割を果たしている。例えば、上の2つの文はどちらも主語の機能を持っているが、that he was guiltyが下のように言えるのに対して、his guiltはそうはいかず前置詞が必要となる。両者の違いは、その主要部の違いによるものだと考えることができる。

  • The news that he was guilty was devastating.
  • *The news his guilt was devastating.
  • The news of his guilt was devastating.

従属部は、必要かどうかはしばしば任意の、統語的に従属する要素である。この名称は、その構造でどういう従属部が認められるかは主要部によって決められるという事実を反映している。例えば(「過度に」という意味での)too は、形容詞・副詞に対する従属部として機能することはできる(too careful, too carefully)が、名詞や動詞の従属部にはなれない(*their too extravagance, *You shouldn’t too worry)。この枠組みでは、伝統的に「述部」(predicate)と呼ばれてきたものは主要部の特殊例、つまり何らかの節の主要部だということになる。同様に「述詞」(predicator)は動詞それ自体の機能に対して用いられる用語だが、それはつまり動詞句の主要部ということである。

「従属部」はごく大雑把な括りなので、主要部との関係に応じて様々に下位分類を与えることが必要となる。まず、補部・修飾部・限定部を区別することができ、主語や目的語、述語(いわゆる伝統文法で言う「補語」(C))を区別することができる。ここで、ようやく補部の登場となるわけだ。

  • the photographs of their dog that they had brought with them [補部]
  • the photographs of their dog that they had brought with them [修飾部]
  • the photographs of their dog that they had brought with them [限定部]

限定語の機能は名詞句構造の内部にしか見られないのに対して、補語と修飾語の機能は幅広く生起する。他にも主要部を持たない構造もあるが、ここでは措く。

Huddlestonが節における補語について論じている第4章や他の文献を検討しようと思ってまとめはじめたのだが、前提の道具立てを説明しようと思ったらどうしてもながくなってしまった。

I’m grammarin’.