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故あって、補部(Complements)について改めて勉強、の続き。終わりが見えないが。。。

は、第4章(Huddleston)を節の構造の内、補部の解説に充てている(pp. 215-289. 今回はその内、pp. 216-219からの引用によるまとめ)。

節構造の機能は大きく、述部(P)、述部の補部(C)、付加部(A)に分けられる。例えば、

  • He | always | reads | the paper | before breakfast.

という文は、

  • C | A | P | C | A

と分析できる。述部が主要部(の特別な場合というより「別格」と言うべきか)で、補部は、付加部よりも文法的に重要な役割を担っている。つまり、補部が動詞と密接に関連し、統語的特性によってより明確な区別——上の例で言えば主語と目的語——が与えられる一方、付加部は——頻度や時間的位置といった——意味論的特性によって区別される。このように、Huddleston & Pullum (Ed.) (2002)は、主語を「補部」から区別する立場を採っていない。同時に,「動詞」というラベルは統語範疇に対してのみ用い、機能に対しては「述部」(predicator)という用語を充てて区別している。

補部は中核的(core)なものとそうでないものに分けられる。下の例のKim, Pat, the key, to Patは全て補部だが,to Patのみ中核的ではない。つまり,それ以外の名詞句は動詞に直接関連づけられるが,この場合Patは前置詞句の中にあり、動詞との関係は前置詞を通じた間接的なものに留まる(斜格と呼ばれる)。前置詞のはたらきは、続く名詞句の意味役割(この場合、Patが受益者であること)を特定することにある。

  • Kim | gave  | Pat | the key.
  • Kim | gave  | the key | to Pat.
  • C | P | C | C

中核的補部の中でも特別な地位を持っているのが主語(S)だ。標準的な(canonical)節において、構成素構造はまず主語と述語に分割される。これは動詞句によって実現される機能なので、主語は動詞句の外側にある(external)補部であり、主語以外の補部は動詞句の内部にある(internal)ということになる。英語は、主語を統語的に他の要素と非常にはっきりと区別するので、類型論的にみて主語が際立った言語として知られる(主語の特性については後の節で詳しく述べている)。

動詞句内部の中核的補部のデフォルトとなるのは、目的語(O)である。標準的節は全て主語を持つが、目的語を持つかどうかは動詞の性質に依る。このことが、他動性(transitivity)と呼ばれる重要な対比——他動節は目的語を持ち、自動節は持たない——をもたらす。他動性というカテゴリーは節にも動詞にも、さらに言えば動詞の用法にも適用される。どちらかの用法でしか用いられないという動詞もあるが、下のopenのように、多くの動詞はいずれの用法でも用いられる。

  • The door opened.
  • She opened the door.

他動詞・他動節はさらに、目的語が1つなのか2つなのかによって、単一目的語動詞・節と二重目的語動詞・節に分けられる。

動詞句内部の補部には、述部補語(predicative complement, PC)というものもある。意味論的な観点からすると、PCは主語や目的語と違って述部のようだと言える。

  • Ed seemed quite competent. [複合自動節: S-P-PC]
  • She considered Ed quite competent. [複合他動節: S-P-O-PC]

つまり、上の例のEdSheは特定の人を指したり選び出したりしているが、PCはそうではなく、Edによって言及された人物に関して述べられた特性を示している。この、統語的には補語だが、意味的には述部の機能を持っているというのが、「述部補語」という用語の根拠になっている(上の例においてPCは形容詞句だが、名詞句でも同じ)。上の例のPCはいずれもEdに関係付けられるが、それが主語か目的語かという違いがある。このことに対して、そのPCが主語指向的であるとか目的語指向的であるという言い方をするが、それはその他動性から予測が可能である。Quite competentEdについて述べられたものだが、他動節の場合Edは統語的に主語ではないので、Edを「PCのpredicand」と呼ぶことがある。

述部補語は、中核的でない補部にも斜格、つまり以下の例のように、regardedの補部としてではなく前置詞asの補部として現れる。

  • She regarded him as quite competent/a decent guy.
  • It seemed that Ed was quite competent.
  • She considered that Ed was quite competent.

また、seemやconsiderといった動詞は定形従属節を伴う言い替えが可能だが、2つの構造を認める動詞はそれほど多くない(以下の例を参照)。

  • Ed stayed silent./*It stayed that Ed was silent.
  • She made Ed angry./*She made that Ed was angry.
  • *Ed happened diabetic./It happened that Ed was diabetic.
  • *I knew Ed diabetic./I knew that Ed was diabetic.

複合自動節において最も一般的な構造は、beを述部とするものだ。この構造は、意味論的・統語論的に多くの点で区別し得るため——意味内容はほとんど持たないが、述部の位置を満たし時制の屈折を運ぶという統語的役割を主に果たす——連結(copula)節と呼んで別に扱うほうがいい。

こうして中核的補部は、2つの次元の構造的対比(目的語を持たない・1つ持つ・2つ持つ×PCを持つ・持たない)から5つの標準的構文をもたらす。

5つの標準的構文

 通常複合
自動節I left. (S-P)I got better. (S-P-PC)
単一目的語他動節I took the car. (S-P-O)I kept it hot. (S-P-O-PC)
二重目的語他動節I gave Jo a key (S-P-O-O)

なんてことはない、いわゆる「5文型」なのだが、記述文法であるから、一連の道具立てからこれが導出され整合的に説明されるということが重要であろう。特定のタイプの補部によらずもっと一般的に、動詞が要求する補部の数——価(valency)——に基づく分類も可能である。

価による分類

 他動性
He died.自動節1価
This depends on the price.自動節2価
Ed became angry.自動節(複合)2価
He read the paper.単一目的語他動節2価
He blamed me for the delay.単一目的語他動節3価
This made Ed angry.単一目的語他動節(複合)3価
She gave him some food.二重目的語他動節3価

非中核的補部 on the price を持つ2つ目の文やPCを持つ3つ目の文は、他動性の観点で見れば1つ目の文の仲間だが、価の観点で見れば4つ目の文の仲間だということになる。いわゆる「5文型」論者は——自覚しているか否かは別として——他動性と述部補語に基づく標準的構文に敏感なのであり、「7文型」等を主張する人たちはこの「価」による整理を重要なものと捉えているのだと言えるだろう。

I’m grammarin’.