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論文を書きました。

元になった発表では触れたのだけれど、論文には書かなかったこと。

今の私のキャパ的にR言語には敢えて手を出さないようにしているのですが、使っている人のRネタやR愛を見ていると、検定にしろ図示にしろ、プロセスが使っている人にとって明確なのがいいところだなと感じます(パッケージを使っちゃうとそうでもないのかな?)。関数を打ち込んでしまえば走らせること自体は難しくないのでしょうが、データを用意して、関数内の適切な場所に入れて…となると、おそらく分かっていないと選べないし使えない(だから解説本もたくさんあって、WSや勉強会も頻繁に開催されるのでしょう)。それに比べ某有名統計ソフトは、お金のない私には縁がないので詳しくは分かりませんが、売っている側はチュートリアルのイベントなんかもしょっちゅう開催している気がするのに、あちこちで「クリック統計」を生み出す元凶になってしまっている。

その点で、Excelもけっこう好きです。データ分析ツールを使えば比較的簡単にt検定や分散分析ができてしまいますし、回帰直線なんてグラフを作るだけで出せてしまいますが、ほっといて学生が使いこなせるかというとそうはいかない。学生・院生にそのプロセスに目を向けて試行錯誤してもらうために、スペランカーまで難しくする必要はないけど、ファミコン版スーパーマリオぐらいの「思うようにならなさ」は欲しいのです(そしてバグや無限1UPを発見するような「変態」がその道に進めばよろしい)。私が接する学生・院生の大半にとっては、むしろ記述統計のレベルでしっかりとした分析と解釈ができるほうが重要だと思っているので、その意味でもExcelを使いこなせることにはかなり価値がある。

ところがどっこい世の中には奇特な変人の天使たちがいて、Rについても、大阪大学の今尾先生が作ってしまったくださった MacR があり、自分で関数を打ち込まなくても直感的操作で動かせてしまう。さらには関西大学の水本先生が作ってしまったくださったWebアプリケーション langtest.jp があり、データを入れればクリックする必要すらない。上の論文のメタ分析で、langtest.jp におんぶに抱っこのベアハッグしておきながらこんなこと言うのもなんですが、便利過ぎるとその途中の過程がブラックボックス化してしまいます。ある意味で、論文の4節で書いているのと同じことが起きてしまうわけです。

ただでさえこの業界では、そもそもの数式の理解をすっ飛ばしがちで本気の統計研究者に鼻で笑われそうなだけに、せめて自分がどういう条件でどういう計算をしているかということのできるだけ正確なイメージは持っておきたい。その意味で、水本の甘いワナ問題が発生しないように、『外国語教育研究ハンドブック』と langtest.jp あるいは MacR を用いた研究法入門の講習会やWSが、開発して公開した者の責任としてちょくちょく必要なんじゃないかなと思う次第。

あ、私の担当する「英語教育リサーチメソッド」がそれか。お後がよろしいようで、がんばれ、私。