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タイトルは釣りっぽいですが、そして書かれていることは(英語教育界でこれまで論じられてきたことを広く見渡せば)「新」と銘打つほどには真新しいわけでもないのですが、

はバランスのとれた、とても良い本だと思います。

英題は”A new way to learn English for all Japanese people”で、確かに売り出す時に味気のないタイトルなのはわかりますが、邦題のせいでかえって安っぽい印象になっているのが残念です(書かれていることはまさに、巷に溢れる小手先本を批判する内容であるだけに)。

「英語学習法」という科目を担当するようになって4年が経つのですが、具体例や活動、順序は違えど、私が全体として伝えようとしていることは本書とかなり重なるなあとあちこちで思いながら読みました。僭越ながら、新潮選書の著作を見ていたぐらいでこれまで著者に特に傾倒していたということもなかったのですが、外国語学習に対する考え方はほとんど一緒と言えるぐらい共感できました。上記の科目は担当授業の中では最も手応えを感じることができていて、前任者の先生にも「最終的には本にまとめられるといいね」と言ってもらっていますが、そういう形になるとしても、本書をなぞるだけにならないようにせねばなりません。でも、授業の参考文献に良書が加わったのは喜ぶべきことですね。

英語の先生には、「英語の難所を乗り越える」の部分(句動詞や慣用句の解説)はやや退屈かもしれません。個人的には、英語がたどった歴史的変遷の簡潔な要約が説明の仕方として参考になったのと、”gl-,” “sl-,” “cr-“といった「音」が持つイメージの話、「相手を『ごまかす』(fake it)」というtacticalなコミュニケーションへの臨み方あたりが類書にはあまり見られないところかなと感じました。