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[本193] 亀谷・竹内・江原・長沼『高校英語のパラダイムシフト』

[本193] 亀谷・竹内・江原・長沼『高校英語のパラダイムシフト』

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昨日は高校の先生との研修だったので移動時に読んだが、竹内先生はつくづくバランス魔人だなあと筆致に勝手に恐れ慄いてしまった。長沼さん担当の第3章のCEFRの記述もコンパクトで有益。忙しい先生方や指導主事の先生がたの現状を考えると、こってり分厚い本ではなく、こういう本が求められているんだろうな。

ただ私は常に、「やり方編」に書かれているようなことの「次」を考えたいタイプで、第4章に書かれていることが英語教育の技術主義化を招いてきた側面のほうをどちらかといえば危惧する。本書は全体として有益で、現下の指導要領に沿って授業改善を進めていく上で先生方が手にとって損はしないと思うものの、亀谷先生の言う「大きなCAN-DO」と「小さなCAN-DO」だけでは、思考・判断・表現と知識・技能の関係が弱いままで、多くの先生方はどうしたらいいのかと悩み続けるだろうと思う。そしてそれが「良い悩み」とは私には思えない。

「小さなCAN-DO」と言うだけではなく、「そこで生徒に教え学んでもらおうとしている『知識・技能』とはなんなのか」を問う必要があるし、もう少し詳しく言えば現状には「どういう意味で(思考・判断・表現を発揮してその言語行為を行い、英語運用能力を高めていく上で、あるいはその後に補強されると)生徒にとって価値ある『知識・技能』と言えるのか」の検討こそが欠けているというのが個人的所感。そのためにも実際の生徒のあらわれから議論していかないと、ね。

だから私は、実際に授業を観て、先生方と議論を重ねていくほうが好みで、たぶんそれしかできない。

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