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今年度のテキスト『はじめての英語教育研究: 押さえておきたいコツとポイント』(浦野 研・亘理 陽一・田中 武夫・藤田 卓郎・髙木 亜希子・酒井 英樹、研究社)の私的コンパニオン・サイトの役割を兼ねて、各回の質問・例題・課題を整理していきます。

大きな研究テーマの決定

第1回 : リサーチとは何か(『はじめての英語教育研究』第1・2章)
  • 質問1:  これまでの経験(受けた授業や教えた経験,教育実習,読んだ本等)から,英語教育・英語について問題・課題だと感じていること,自分自身が悩んでいること,「あれは一体どういうことなの!?」と思っていることを書き出してみましょう。
  • 例題1(戸田山 和久 (2011).『「科学的思考」のレッスン: 学校で教えてくれないサイエンス』NHK出版、pp. 164–168に基づく)

1.  温泉で湯治をしたノイローゼ患者のほとんど(99.9%)が治癒した、というデータがある。ここから湯治はノイローゼの治癒に有効と言ってよいか?

治癒999
治癒せず1

2. 温泉で湯治をしたノイローゼ患者の治癒データが次のようであればどうか。

 湯治をした湯治せず
治癒1001
治癒せず900999

3. テキストp. 2に、研究は(1) 研究課題、(2) データ、(3) データの分析・解釈という3つの要素から成り立つとある。上のケースについて、それぞれを当てはめ、「1つでも欠けていれば研究とは呼べ」ないのは何故かを話し合ってみよう。

  • 例題2: 南風原朝和『心理統計学の基礎: 統合的理解のために』(有斐閣、2002年)、pp. 1−5によれば、研究のアプローチは大きく
    •  調査(survey):研究者の側から特に手を加えることなく現実をそのまま把握しようとするもの
    •  実験(experiment): 意図的に操作して(操作する条件以外はできるだけ統制し)効果を調べる
    • 実践(practice):対象者の現実を改善することを主目的として現実に介入しながら研究を進める

の3つに分けられ、具体的な研究デザインは

・横断的研究(cross-sectional study):あるひとつの時点で異なる集団を比較する

・縦断的研究(longitudinal study):同一の集団について2つ以上の時点でデータをとって比較する

に分けられる。

  1. では、次の4つの(英語教育専修の先輩の)卒業論文研究はどのアプローチとデザインで行われたと思うか。
    • (1) 大学生の英文ライティングに対する4コマタスクの効果
    • (2) 中学生に対する語彙学習方略の効果的な導入
    • (3) 静岡県内のALTへのインタビューによる質的研究: JTEとの連携点に注目して
    • (4) 中学校英語授業におけるFocus on Formに基づく活動の効果と実施上の課題
  2. ここから、自分が取り組む卒業論文研究、あるいは卒業論文研究一般に言えそうなことをいくつか挙げて、話し合ってみよう。
  • 課題1-1:  あなたが質問1で書いた内容について,あなたが知りたいこと(に関連・サポートすること)をアンケート(専門的には質問紙questionnaire調査と言います)で「調査」してみましょう。聞き方は全く自由ですが,質問数は3つ以上5つ以下とします。質問1で書いた内容そのものについての調査が難しい場合は、関連する内容でも構いません。

 

先行研究の洗い出し・具体的なテーマの決定

第2回 : リサーチのデザインと準備 (1)(『はじめての英語教育研究』第3章)
  • 模擬質問紙調査:  課題1-1で作成したアンケートをグループメンバーに実施してみよう(実施方法はクラスサイズによって調節。ここではグループ内で時計周りにまわして、3分×3セットで同時並行的に実施)。
  • 例題1: リンクのGoogle Formアンケートに回答してみよう。
    • 模擬質問紙と例題1の質問項目に問題がなかったかを検討し、それぞれどういう長所と短所があるかを話し合ってみよう。
  • 例題2: テキスト第3章2.2の文献検索法に従って、下記の情報を探してみよう。
    • (1) CiNiiで,酒井英樹先生の論文は(    )本見つかる。
    • (2) CiNiiで,「外国語活動」というキーワードで検索すると(    )本の論文が見つかる。
    • (3) CiNiiで,「        」というキーワードで検索すると(    )本の論文が見つかる(任意のキーワード)。
    • (4) Web of Scienceで“grammar teaching”というトピックを検索した時に最初にヒットするのは,「        」。
    • (5) Sakai, H. (2009). Effect of repetition of exposure and proficiency level in L2 listening tests. (雑誌タイトル), 43, 360–372.
    • (6) Sakai, H., & Kikuchi, K. (     ). An analysis of demotivators in the EFL classroom. System, 巻号, ページ   –   .
  • 課題2:
    • (1) あなたが第1回の問1で書いた内容,あるいは関心を持っているテーマについて,いくつかキーワードを設定し(キーワードを明示すること),学術誌を検索し英語の一次文献を3本(以上)見つけてください。
      • 文献情報の示し方についてはテキスト第7章3.4(pp. 197−200)を参照。
    • (2) テキスト第3章3.2および3.3を読んだ上で,1.で探した一次文献のタイトルとアブストラクトを読み,以下の観点について各論文の概要をまとめてください(Cf. 参考文献⑦: 本田・岩田・義永・渡部, 2014, p. 87)。記述がなければ「記述なし」と記入してください。ただし不明な点については,可能な範囲で構わないので,一度は本文にも目を通してみましょう。
    • フォーマット(docx)
第3回 : リサーチのデザインと準備 (2)(『はじめての英語教育研究』第2、4章)
  • 課題2シェア: テキストp. 17によれば、研究の基本的な目的は、(1) 概念の検討・整理、(2) 新事実の提示、(3) 仮説の検証、(4) 事象の理解・仮説の生成に分けられる。課題2で調べて来た論文について、各論文の目的を明示しながら概要を報告・共有しよう(持ち時間目安一人3分)。
  • 質問1: テキストpp. 19−23では、研究テーマの決め方について4つの指針が示されている。まずは課題2シェアをもとに以下を再確認してみよう。
    • 課題2で調べてきた文献を見るとどうやら私は(  )に興味があるようだ。
  • 質問2: 次に、自分の興味あるテーマについて、やりたいこと・やれること・やるべきことを可能な限り書き出してみよう。やれること・やるべきことのそれぞれ、あるいは両方が具体的に書けないとしたら、それはどういうことを意味しているか考えてみよう。
  • 例題1: 好きな人にバレンタイン・チョコをあげることと、それに対するホワイトデーのお返しについて研究するとすれば、
    • テキスト第4章4節を読んで、質的アプローチ・量的アプローチそれぞれでどのようなことを明らかにしようとするか考えてみよう。
    • この例における、説明変数・目的変数・その他の変数を挙げて、それぞれがどういう関係にあるかを考えてみよう。
  • 例題2: Dreams Come Trueは「うれしい!たのしい!大好き!」で「証拠だってちゃんとあるよ 初めて手をつないでから その後すぐに 私の右手 スーパーでスペシャルになったもの」と主張しているが、これが証拠として十分と言えないのはなぜだろうか。Rubin (1970)が”romantic love”について以下の構成的定義を与え、13の質問項目によって操作的定義を与えていることに照らして考えてみよう。
    • a) affiliative and dependent need, b) a predisposition to help, and c) an orientation of exclusiveness and absorption
  • 作業1: これまでの授業と先行研究を踏まえ、自分の研究テーマについて以下を考えてみよう。その上で、内容を反映したタイトル(研究題目)をつけ、その研究課題に対して必要なデータや準備を考えてみよう。
    • 研究目的
    • 研究デザイン
    • 対象者
  • 課題1-2: 作業1で整理した内容を踏まえ、研究計画のフォーマットに沿って,仮の構想をまとめてください。

 

データ収集とデータ分析

第4・5回 : 記述統計の基礎知識 (1)(2)(『はじめての英語教育研究』第6章)
  • 作業1: 第2回例題1集計シートをダウンロードしてください。
    • Q1: 回答者の人数(n)は( )人で,内女性が( )人,男性が( )人。
    • Q2: 回答者の通学時間は平均( )分である。
    • Q3: 恋愛力尺度1の平均値は( ),恋愛力尺度2の平均値は( ),恋愛力尺度3の平均値は( ),恋愛力尺度3問の合計得点の平均点は( )である。
    • Q4: 通学時間のヒストグラムを作成してみましょう。
    • Q5:  聞く話す読む書くの4技能の内,重要度が高かったのは順に,
      • 1: ( ),2:( ),3: ( ),4: ( )
    • Q6: 中学校で使用していた教科書は多い順に,
      • 1: ( ),2:( ),3: ( ),4: ( ),5: ( )
  • 質問1: 以下のデータがそれぞれ、4つの尺度水準(比率・比例尺度、間隔尺度、順序尺度、名義尺度)のどれに当てはまるか,周りの人と相談しながら考え,分類してください。
    • 1. 英語学習の好き嫌い
    • 2. 英語学習年数
    • 3. 英語話者の知人・友人の数
    • 4. 学習方法アンケート
    • 5. 海外旅行・留学経験の有無
    • 6. 学籍番号
    • 7. 家庭での学習時間
    • 8. 欠席回数
    • 9. 期末テスト(100点満点)
    • 10. 使用教科書
    • 11. 通学時間
    • 12. 単位評定
    • 13. 単語テスト(10点満点)
    • 14. TOEICスコア
    • 15. WPM (リーディング速度)
  • 例題1: 3年B組のこうじ君の期末テスト(各100点満点)の結果が、英語86点、国語67点、数学44点だった時、この結果から「こうじ君は英語が得意で数学が苦手である」といってよいでしょうか。なぜそう思いますか(Cf. 山田 剛史・村井 潤一郎 (2004).『よくわかる心理統計』ミネルヴァ書房)。
    • 例題1b: B組の平均点が、英語90点、国語53点、数学30点だったとしたらどうでしょうか。
    • 例題1c: B組の標準偏差が、英語8、英語10、数学5だったとしたらどうでしょうか。
  • 作業2: 作業1のデータを用いて計算して見ましょう。
    • Q7: あなたの「通学時間偏差値」は ( )
    • Q8: あなたの「恋愛力偏差値」は ( )
  • 作業3(Q9): 作業1のデータを用いて、恋愛力尺度間の相関行列を表に整理してみましょう。
  • 課題3: ワタヨー中学校3年B組の生徒のデータがあります。前期に行った2回のスピーキング・テスト(20点満点)の結果について,図表や代表値・散布度等を用いて,この結果および3年B組の生徒のスピーキング力について英語教師または英語教育研究者として所見を述べてください(最大A4一枚程度)。ただし当該テストは妥当かつ信頼性も高いものとします。文章や図表をWordファイルにまとめ,5月17日14時25分までにファイルを提出すること。
    • 課題3ファイル(Cf. 山田 剛史・杉澤 武俊・村井 潤一郎 (2008).『Rによるやさしい統計学』オーム社)

第6回 : データ収集の方法

  • 質問1: 教育実習中の授業で観察してみたいこと・理解したいこと・考えたいことを、(1)教科指導全般と(2)外国語活動・英語それぞれについて書き出してください。グループ内で共有し、以下のいずれに当てはまるか(いずれにも当てはまらないか)を考えてみましょう。
    • A. 授業の構成(教材、指導手順、指導案と実際の運営)
    • B. 授業経営法、授業技術、教室環境、学習規律
    • C. 教具・教育機器の活用状況
    • D. 授業における言語的やりとり
  • 例題1: 動画を見て、観察調査で明らかにできること、実施に際しての注意点等を話し合ってみましょう。
  • 作業1: 以下の論文の概要(Mackey & Gass (Eds.), 2012, pp. 111−112)を読み、観察調査の課題について話し合ってみよう。
  • 作業2: 課題1-2の研究計画書をもとに、各グループでアイデア・意見を出し合い、以下を検討してください。
    • 研究課題
    • それに答えるために適切なデータ収集法
    • 調査・実験・実践の内容

 

第7回 : 質的研究の基礎と展開 (1)
第8回 : 質的研究の基礎と展開 (2)
第9回 : 推測統計の考え方
第10・11回 : 量的研究の展開 (1)(2)
第12回 : 量的研究の展開 (3)

 

解釈と研究成果の報告

第13回 : データ収集の実施、研究報告のまとめ方
第14・15回 : 研究成果発表 (1)(2)、講義全体のまとめ