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1週間ほどイギリスに行ってきた。主たる目的は Postgraduate Certificate in Education (PGCE) プログラムの調査で、今回はロンドン・バーミンガム・オックスフォードを訪問した

教室をベースとして「学級・学校経営」についてより深く学び、教育の現代的課題に向き合っていく。教員養成高度化の議論において、そうしたことが重要視されていることは理解しているが、私は、敢えて教科教育の専門性について考えたい。私の場合、具体的にはPGCEプログラムが外国語(Modern Foreign Languages)教育に対して何ができるか、外国語教師は何を求められるかということである。

調査本体の報告と考察は公の場所に譲るとして、今回訪問した3つの大学(University of LondonのInstitute of Education (IOE)、University of Birmingham、University of OxfordのDepartment of Education)の図書館や書店にも興味があった。学生・院生にどういうリソースが提供されているかを推察するヒントになるからだ(図書館や書店に並んでいたからといって、教師たちが全員身につける知識・技能であることを意味するわけではもちろんないけれども)。

オックスフォード大は一日シンポジウムに参加したりインタビューしたりでそういう余裕はなかったのだが、幸いIOEとUniversity of Birminghamは図書館の中を見学することができ、IOEでは書店もゆっくり見ることができた(バーミンガム大を訪問できたのは日曜だったため書店は閉まっていた)。

と前置きが長くなったが、IOEの書店に並んでいた書籍を列挙するだけの「世界の書棚から」(BGMは適宜口ずさんでほしい)。シリーズ化は期待しないでもらいたい。

教科の特性や現況については、

  • Field, K. (Ed.), (2001). Issues in modern foreign languages teaching (Issues in teaching series).  London: Routledge.
  • Driscoll, P., Macaro, E., & Swarbrick, A. (Eds.), (2013). Debates in modern languages education (Debates in subject teaching). Oxon: Routledge.
  • Pachler, N., Evans, M., & Lawes, S. (2007). Modern Foreign Languages (Teaching school subjects 11-19). Oxon: Routledge.
  • Ramage, G. (2012). Modern languages teacher’s handbook. London: Continuum.

が並んでいた。いずれもシリーズ物で他の教科・領域のものも置かれていた。著者は重複しており、IOEに所属する先生も複数執筆している(特に3つ目の著者の内2人はそう)。前二者はアンソロジーでより広い話題に触れており、3つ目はコンパクトでいかにもPGCEのテキスト。4つ目は実践的な内容も含んでさらにハンディな一冊だが、さすがに薄過ぎで、学部段階のものという印象(関連Resourcesやお役立ちWebsiteの情報は有益)。

具体的な指導法・教材構成については、

  • Swarback, A. (Ed.), (2002). Aspects of teaching secondary modern foreign languages: Perspectives on practice (Open University flexible PGCE series). London: RoutledgeFalmer.
  • Pachler, N., & Redondo, A. (Eds.), (2014). A practical guide to teaching foreign languages in the secondary school (Routledge teaching guides) (2nd ed.). Oxon: Routledge.
  • Pachler, N., Evans, M., Redondo, A., & Fisher, L. (2014). Learning to teach modern languages in the secondary school: A companion to school experience (Learning to teach subjects in the secondary school series) (4th ed.). Oxon: Routledge.

が並んでいた。1つ目は黎明期の重要文献には違いないだろうが、やや古いという印象は拭えない。3つ目の副題が象徴するように、3つ目と2つ目が主要なテキストおよびワークブックとして大量に置かれていた(3つ目は、amazon.co.jpではこの記事の執筆時点でKindle版しかないが、書店では第四版のペーパーバックが並んでいた)。IOEの書店では3つ目のシリーズが特に取り揃えられており、外国語としての英語教育の文献ではないが、章立てが興味深かったので4つ目の

  • Davison, J., & Dowson, J. (Eds.), (2009). Learning to teach English in the secondary school: A companion to school experience  (Learning to teach subjects in the secondary school series) (3rd ed.). Oxon: Routledge.

も入手してみた。英語に関しては、必ずしも生徒のL1とは限らない状況があるので、初等教育段階での、

  • Waugh, D., Warner, C., & Waugh, R. (2013). Teaching grammar, punctuation and spelling in primary schools (Transforming primary QTS series). London: Sage.
  • Barton, G. (2010). Grammar survival: A teacher’s toolkit. Oxon: Routledge.

といった文献もプッシュされていた。

全体として(General Educationの棚に)教育政策やリーダーシップの文献が多く並べられているという印象を受けたが、それほど広くないスペースながら、Secondary Educationの棚には各教科・領域の文献がバランスよく置かれていた。IOEで刊行している文献も一つのセクションを割いて並べられており、例えば教科横断的なところで

  • Heilbronn, R., & Yandell, J. (Eds.), (2010). Critical practice in teacher education: A study of professional learning (The Bedford Way papers series). London: Institute of Education.

といった文献は、IOEの取り組みを概観するのに便利であろう。その他、amazonにも登録されていないような、£5の小冊子として記念講演を刊行したものやニューズレターの類いを多数手に取ることができた。

言語学・英語学も基本的なところはおさえてあったが、社会言語学関連の文献が多いように思った。最近の話題のせいで何より苦笑してしまったのは(おそらくこれはどこも一緒だろうが)、入店するや否やAcademic writingやPlagiarismのコーナーがでーんと構えられていたことだ(survive …とかhow to avoid …とかタイトルも切実)。

図書館についてもいろいろ感じることがあったのだが、それはまた別の機会に(to be continued…)