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[レビュー086] コクラン=スミス『アカウンタビリティを取り戻す』

[レビュー086] コクラン=スミス『アカウンタビリティを取り戻す』

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ようやく読了。論旨や枠組は明確だし、特に第9章で語られていることが重要なのは間違いないのだが、(以前、遠藤さんが絶賛していたと思うし、界隈で評判になっていたから手に取ったのだが)私はそんなにハマらず。たぶん、「アカウンタビリティ」を否定するのではなく「取り戻す」のだというアウフヘーベン的なスタンスと包括的な枠組みの提案のまとまりの良さ以上の味を汲み取れていない。

原因は私がアメリカの教師教育事情に詳しくないことと、おそらくはそれ故に、(これこれの経緯がある)どの団体も特にエビデンスはなく問題含みだよということを言うのにこんなに長々書く必要あるかな?訳文の問題かな?と思ってしまった(団体等の略語が多すぎて嫌になる)。それなら「確かな実践」と本書がみなす実践についての具体的な記述にもっと紙幅を割いてほしかった。

つまりはアメリカの教育事情と教師教育(の仕組みや関係諸団体)について背景知識をそれなりに要求する文献だということだ。詳しい人に解説してもらいたい。

※と言っていたら、佐藤仁さん(福岡大学)に「『包括的な枠組みの提案のまとまりの良さ』というのは、まさにコクラン=スミスの真骨頂」で、「あまりに複雑化している米国教師教育の状況を交通整理できるのは、彼女しかいないだろうなと感じるところ」というコメントをもらいました。ありがたいことです。

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