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「欧米で幅広く導入されている国際標準規格」という違和感強めの説明に出会って、「CEFR 国際標準規格」でググると逆に規格に不安しか残らなくなってしまうヨーロッパ共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages, CEFR)について、欧州評議会が今年5月に会議を開催し、CEFR Companion Volume with New Descriptors (CEFR/CV)という新版を発表した(公刊自体は2月のようだが、私はこれで知った)。

特徴の一つとして、受容(reception)・産出(production)・やり取り(interaction)・仲介(mediation)というCEFRのコミュニケーション言語活動の分類に、3つのマクロ機能ベース(macro-functional basis、p. 31)が与えられたことが挙げられる。

CEFR/CV (2018)亘理 (2018)
Creative, Interpersonal Language Useモノを生み出す、世界を変える
対人関係を築く・調整する
世界を知る・作品を味わう
Transactional Language Use
Evaluative, Problem-solving Language Use課題を解決する

これを最初目にした際、What a coincidence!と思ったのは、亘理 (2018, p. 9)で「われわれが言葉を用いる目的」を上の表の右列のように整理していたからだ。亘理 (2018)の草稿を知人に読んでもらった際に「何に依拠した分類か」と訊かれ、三浦・中嶋・池岡『ヒューマンな英語授業がしたい!』や近江『感動する英語!』などをはじめとする様々な文献から抽出したものと言えるものの、基本的には私が独自に案出したものということで亘理 (2018)には出典も示さなかったのだが、これからはCEFR/CVを参考文献として添えることができる。亘理 (2018)が2017年12月に執筆され2018年1月に発行されたもので、CEFR/CVが同年2月公刊であるから、CEFR/CVより先に言ってたんどー!と言いたい特許争い的気持ちがないわけでもないが、それよりは、似た時期に似たような整理が行われていたという事実のほうが興味深い(当然私はCEFR/CVを参照していない)。

説明に、ideational, interpersonalといったHalliday流の機能主義的言語理論のラベルが出てくるので、両者の類似はさもありなんというところではある。ただ上の表ではざっくり対応させている(ような表しか作れなかった)が、CEFR/CVはこの分類を受容・産出・やり取り・仲介と掛け合わせているので、Creative, Interpersonal Language UseのReceptionには「世界を知る・作品を味わう」に相当すると言うべき具体例(Reading as a leisure activity)が挙げられているなど、一対一対応しているものとみなすことはできない。さしあたり亘理 (2018)に基づけば当然、CEFR/CVが創造的側面と対人関係(形成)的側面を一緒の括りにしているのは良いのかなと思うので、今後機会があれば、その辺や両者の関係を具体的に解きほぐす議論をしてみたい。

ともあれ、このマクロ機能ベースの話、あちこちで「CEFR」という言葉を見ない日が無いような昨今の状況にもかかわらず、英語教育界の「有識者」たちからは全然出てこないように思うのだが、どういう風に受け止められているのだろう(ついでにいえば、受容・産出・やり取り・仲介の関係(p. 32)と「技能統合」を付き合わせて、どう考えるかといった議論も)。

  • 亘理 陽一 (2018).「小学校外国語教科化に期待すること」『初等教育資料』964, 12−15.