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当然ながら購入もし、6月に恵投もいただい(て院生の部屋に寄贈し)た

をようやく読了。評価が難しい。しかし(知り合いが多いことを抜きにして)一読者として感じたことを率直に書く。

(1) 第4部の「授業研究の実際」は結構面白い。学会誌などで、コメントと著者からの応答を載せたりするものがあるが、授業者の授業に対する振り返りと複数の観察者の見取り、最後にそれを受けて授業者が学んだことをこうしてまとめると、それだけで読み応えがあるし、それぞれの刺さり方で有意味な観察・言語化をしているメンバーなので授業観察についての示唆も得られる。

(2) 第1〜3部は全体にふわふわしていた。価値負荷的な言葉が多く、福井大や実践ラウンドテーブルの取り組みに長く関わった経験がないとピンと来ない部分が多いのではないかと感じた。教育方法学的な観点から言えば、福井大(と東大)が受け継いできた哲学が色濃く出まくった本書は、「授業研究」という領域に対してそれを相対化して(研究領域上の布置を明確にして)提示できているのかどうかという問題。本書のスタンスにハマらない過去の授業研究や実態についてはout-of-dateのものとして切り捨てる調子の整理が多いが、歴史的検討として果たしてそれで良いのか。

(3) (2)に関連した実践的な問題として、私がふだん接する先生がたの顔を思い浮かべた時、本書を誰に薦めることができるかまだつかめないでいる。第4部にたどり着くまでは抽象的な「授業」が語られるので、おそらくこれを読む教員や学生・院生には(そして私にも)ふわふわしたイメージのふわふわした理解がズレたり揺れたりしながら伝わって、それは良いのかな…?と危惧していることもあり、管理職の先生が本書の文言を受け売りに振りかざしても上手くいかないんじゃないかなあ…という懸念が拭えない。

要するに本書は、福井の実践とセットにしてローカルで具体的に読み込むからこそ意味があるんじゃないかと思った次第。『授業研究』と冠してあるから読者としてはもっと一般性・汎用性のあるものを期待すると思う、という辺りが主たる違和感かな。