レビュー
[レビュー074] 若林(編)『英語の教室で何ができるか』

[レビュー074] 若林(編)『英語の教室で何ができるか』

Pocket

著者のお一人・大津由紀雄さんにご恵投いただいた。拝読したが、大津さん以外はタイトルに正面から答えきっていないように思った。至近要因として何をしなければならないかを語ってはいけないということはないが、「教室で何ができるか」はそれに尽くされるものではないだろう(難しく言えば、各自「教室で何ができるか」という問いの投射範囲を見誤っていないかという問題)。

松村さんの主張には理論的な整理として賛同する部分が多いものの、やはり「教室で」の部分が弱いと感じる。そこを意外と(と言ったら失礼だけど)引き取ろうとしているのは白畑先生だが、教師の力量・問いかけが重要というのはSLAの知見に寄らずとも、今まで実践的に散々言い尽くされてきたことのように思われる。

かようにして、「英語の」や「何ができる」について各論者が自身の実践や信念であれこれ語る一方で、(特に小中高の)「教室」に対する解像度の粗さから、質疑応答・意見交換では、20年ぐらい前にとっくに通り過ぎたような話が展開されていて、掲げられているタイトルの輪郭と切実さに比して、残念に思った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です