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毎週Facebookに投稿していた振り返り。この授業についてもこちらにまとめておく。科目統合再編により、2019年度からの新カリキュラムにはこの授業は存在しないので、科目として最後にはなってしまうのだけれども。

第1回: リサーチとは何か [5/2]

今日は、英語教育リサーチメソッド第1回。動画部分が長くなったので、観ようと思ったら早めに観れるように冒頭の動画は前日にアップし、授業開始後にも一応その分の時間を確保してディスカッションへ。解説の喋り過ぎを反省しているが、各グループ、質の高い議論を展開してくれて、その後のミニタスク的な問いかけへの反応も良かったので、なんとか時間内に収まって、手応えをつかめた。意見の分布を見るために手を上げてもらうのもスタンプで。

(全体にまとめを報告したりする)代表を決める時にじゃんけんができないのがつらい、という声があった。たしかに。✊✌️🖐はあるので、あとは呼吸を合わせるところをどう実装するか。私にDMするというまどろっこしい方法はあるが…

第2回: リサーチのデザインと準備(1) [5/8]

今日は、英語教育リサーチメソッド第2回。冒頭の(授業中の活動を導入するところまでの)動画は、授業前の好きなタイミングで観れるように先行アップしている(授業内でも視聴時間は確保する)のだが、開始前にほとんどが観ていたようで、みんなの真面目さに畏れ入る。

用意した活動が予想以上に各グループで盛り上がって、最後の動画を観てもらうと90分に収まらなかったのが今日の反省。毎回「そんなにディスカッションが盛り上がるとは」と想像コメントで動画を撮っている割には、もっとあっさりサラっと終わると思っていた。履修者の真剣さを考慮すれば、「考えあぐねる」部分についての配慮が足りない。この時点で授業設計としては不十分なのだが、対面の場合、半強制的に議論を打ち切って次に進むという手があるにはある。Slackでの議論ではその手が使えない、というか機能しにくいんだなあと思うなど(それに頼らせないという意味で良い面でもある)。

第3回: リサーチのデザインと準備(2) [5/13]

午後、英語教育リサーチメソッド第3回。Web調査で見えなくなることや、対面・紙面調査と比べた性格の違いということはあるにせよ、Google Formのようなサービスの発達のおかげで、集まれずとも互いに質問紙調査も試してみることができるのは本当にありがたい。クラスサイズのおかげもあるが、避けるべき密の意味ではなく、密に授業が出来ている。

回答に応じてセクションを分ける方法について質問が来た際に、こういうサンプルを作ってしまうのが私で、懐かしのゲームブックを作りたくなるなど(これがわかって反応する人はだいたい昭和)。

文献検索についても、電子ジャーナルやデータベースに学外からアクセスできるので、なんとかなる。「オンライン」うんちゃらについても、表面的なツールのあれこれではなく、そういう教育・研究のインフラの点検・維持・拡充こそがキモと思うのだが…。おさらい的な意味も込めてのCiNiiの検索例題は、『はじめての英語教育研究』共著者の酒井先生に登場いただいているが(私だと同姓同名問題にぶつからないこともあり)、slackの早押し検索的な活動も期待以上に盛り上がって暑い日に熱い授業でした。

第4回: 質的研究の基礎と展開(1) [5/20]

英語教育リサーチメソッド第4回。例年であれば教育実習明けのタイミングでグループインタビューを実施するのだが、今年はZoomでの個人インタビューに切り替えた。

その分、課題で調べてきた先行研究も踏まえつつ、それぞれの興味・関心で質問してもらったので、一貫性という意味では良かったと言える。実習期間の休講もないので、前回の質問紙調査の経験からより強い連続性を持ってインタビューに臨めたようだ。

Zoomは、パソコンであれば参加者も録画することができ、自動で音声ファイルと動画ファイルを作成してくれるのが良い(文字起こし作業が課題となるので音声ファイルが欲しい)。しかし、それにしてもブレイクアウトルームにみんなを送って1人になった時の間抜けな感じが結構切ない。各部屋を確認に移動していても確かに邪魔にはなっていなさそうだったが、もっとパッパと移動できるようにしてほしいし、インタビューの邪魔はしたくない。全員に送るメッセージも届いたかどうか分からない。

履修者同士、見知ったメンバーでも久しぶりに顔を合わせたというのでその点では使って良かったが、ゼミのような議論をするのでなければ、あるいはこういう特定の目的で使うのでなければ、Slackで文字ベースでやり取りするほうが個人的には好みだ。まあ無料でここまでできるんだからZoomには感謝しかないんだけど。

第5回: 質的研究の基礎と展開(2) [5/27]

英語教育リサーチメソッド第5回。インタビューデータの分析をオンラインホワイトボードサービス miro の助けを借りて。渡辺貴裕さん(東京学芸大学)の紹介を見て、例年、模造紙と付箋でやっていたこの分析作業はmiroを利用するっきゃない、と思っていた。

ただ、質的研究法についての解説や手順を説明する動画を除いた時間で分析が(KJ法で言う図解化まで)完了するか心許なかったので、早めに案内し、動画も早めに共有して、90分分析に当ててもらった感じ。そのまま課題と連動しているので、授業後の課題への取り組み時間を授業と重ねたということで許してもらう。

全員がmiroに揃ったのは動画試聴時間を確保した後だが、miroに慣れる目的も兼ねて昼過ぎから取り組んでくれる者もおり、授業時間が来ていったん切った後も話し合いがしたいとZoomをリクエストしてくれる者たちもおり、全グループ一応の完成までこぎつけた。毎回高いエンゲージメントを見せる受講者たちに感謝するより他ない。

「Zoomとmiroの併用でここまでできてしまうと学校に通う意義を考えさせられる」という感想をもらったが、授業者の私はむしろ今日、ここまでの5週分で対面授業との違いを最も強く実感した。それぞれmiro上で集中して付箋を作っている間はいいのだが、作業中の姿が見えないこともあって、グループメンバーのペースを見て様子や理解を確認したりといった、対面であれば何気なくやっている協調的行動がどうしても乏しくなる。学生に負担をかけてでもスタートからzoomとmiroの併用で進めると良かったのかもしれないが、受講生が気にするかどうかとは別の次元で一つの限界を見た気がする。

もちろんmiroやzoomでしか実現しないこともある。miroの共有プロセスは単純に面白かった。チャットやzoomでやり取りしなくても、カーソルの動きだけで意図が分かりコミュニケーションが成立した!という報告もあった。机で作業している感じもあり、教室で授業をしているテイのやりとりなんかもあった(教室に残っている学生に消灯をお願いするのが対面授業の恒例の風景)。持つべきものは渡辺さんである。パソコンも私も全力を出して2コマ分以上のエネルギーを使った気はするが。

第6回: 授業観察の意義・方法・課題 [6/3]

第6回は授業観察について。本来は教育実習に送り出す直前に置いている回だが、延期となって、少し先の話。教育実習で観察したいことを共有し、教室内の立ち位置やそれぞれのメリット・デメリット、外国語教育研究における観察研究法の整理など。

メインは、ある授業を10分程度観察・記述し、見えたこと感じたことを共有する観察体験活動。教育方法学の授業研究の視点を加えて、もう一度観察。解釈したこと推測したことを共有する。Zoomも併用したが、もう少し時間が必要だったかな。最後は、この授業の私なりの解説と、授業観察のヒントを羽仁進監督の『教室の子どもたち』の話から。鋭い感想が多く、早く実習に送り出してあげたい。

第7・8回: 記述統計(1)・(2) [6/10]

英語教育リサーチメソッドは、履修者と相談の上、第7・8回を対面で(も)行うことにした。記述統計の計算作業や解釈を誰かの助けなしに在宅で行うのは難しいだろうという判断からいくつか選択肢を提案し、思ったよりも来れるという者が多かった。実現したのはコンピュータ室で間隔を空けて座れる範囲の人数だったことが大きい。動画等で事後にも補えるようにしてあるが、結果、1人をzoomで繋いで、私にとっては2月5日以来4か月ぶりの対面授業となった。

エアコンが「暖房」になっていたので数か月使用されていなかったとは思うのだが、念には念を入れてイスや机、キーボード、マウス等を除菌し、無い者のためにマスクも用意。サニタイザーも用意してあったが、事務に言ったら大学の各所に配置してあるものを提供してくれた。助かる。密を避けた配置で、梅雨入り後のむあっとした空気で換気しながら。

最初は「対面で授業を受ける」という感覚のリハビリ的趣きもあったが、次第にいつもの感じに(そしてExcelが大変でそれどころじゃない)。データの整理から視覚化、代表値・散布度による集約、相関係数まで、内容が固まってるということはあるが、私自身、久しぶりに対面でやってみて、以前より余裕を持って授業に臨めるようになったことに気づく。

自分の感覚を面白がりながら授業していたのだが、非対面授業について全方位さまざまな要因に気を配って準備する日々を送っているからか、進行に全然慌てることがなかった。反応を見てすぐ調節できるのが楽で仕方がなく、全然待てるし、すぐそこにいてくれてありがとうと学生に感謝さえ覚えてしまう。そして授業時間に余裕を持ってやるべき内容を全て終えた。同時並行でzoomの学生のフォローもしながらだったのでモタついたところがないではないが、在宅授業の日々は何かしら私を鍛えていたのかもしれない。

一方で、学生への接近を躊躇する自分も感じた。以前だったらもっと何気なく、意図的に、時に不自然に、時に無駄に、ひらりはらり机間を舞っていたが、その能力はたぶん低下した。授業観察もしばらくしてないしなあ。日常の経験の(積み重ねの)影響の大きさを感じる。また研鑽を積もう。

第9回: 推測統計・統計的仮説検定の考え方 [6/24]

研究室から英語教育リサーチメソッド。次回の統計ハンズオンは対面とzoomでがんばってもらうが、今日の推測統計の考え方は動画とslackで。母集団の仮定の議論はまあまあ良く、二項分布までの確率の問題もわりと盛り上がっていたが、統計的仮説検定の手順に至ってパニックもしくはフリーズが伝わってくる。対面の時よりフォローもしやすいところもあるし、動画を繰り返し見て課題に取り組むと多くが決意しているので、まあ例年と同じと言えば同じ。数学嫌いでももっと楽しくわかる授業にしたいが、私の力が足りない。かと言って、使い方だけを教える授業にはしたくない、という毎年の悩み。非対面なんだから、専門家を招けばよかったか。

第10・11回: 量的研究の展開(1)・(2) [7/1]

英語教育リサーチメソッドは、履修者と相談の上、再び対面とZoomハイブリッドで実施。Webアプリでの統計分析が主なので、もはや遺物と化しつつある古いパソコン部屋ではなく、Wi-Fiがちゃんと飛んでる部屋に基本BYODで。そのほうがSlackとの連携もしやすい。最も怯えたのは天気だが、幸い電車も動いていて、自宅学生のやる気にも助けられた。

今日は準備の勝利。前回の反省を踏まえ、Zoomはワイヤレスマイクを使用。分析課題で必要な学生にはパソコン貸出。ヘルプの院生のPCも借りて、それとiPadでZoom参加学生とのグループワーク環境も用意。雨と蒸し暑さに難儀しつつも、快適な教室環境の助力を得て、持てるMacbook力で3面デュアルプロジェクタをフル活用。遠隔対応の話をしていて、この状況を見越して準備してた感じですねと事務で言われたが、数年前だったらどうだったかな。勿論その時に尽くせる全力は尽くすにしても今よりもっと余裕なく汗とベソをかいていただろう。

と言って勝利というほどいい授業ができているわけでもないが、例年通り、t検定から、効果量の話も挟んだ上で、回帰分析まで駆け抜けた。最初は死にそうな顔も、二元配置の分散分析あたりで慣れてきて、解釈できるようになるとオオ、ナルホドという顔になるのが良い。そして課題が提示されてまた泣きそうな死にそうな顔になる。でも今年は、スロースターターではあるが、食らいついて粘る集団という感じ。

前回の課題(Z検定)の解説で、「先生がなぜ英語科にいるのか不思議」という声をもらったが、ゼミで教育学の文献を読み、情報処理を教え、こうして統計の説明をしていても、自分として違和感は実はない。なんであれ、よくわかる!とうまく伝わった!を考えてあれこれ実践するおっさんなのだ。強いて言えば英語をもっとうまく教えられるようになりたい。That’s why I’m here.

第12回: 量的研究の展開(3) [7/15]

英語教育リサーチメソッドは、コーパス検索やらテキストマイニングやら。1コマしかないので、COCAやICNALEの使い方をハンズオンするのは諦めて、非対面でできることを。でも、彼女らは私の思った以上にやってくれることを知っている。前回の濃さに比べればしっとりした内容にわかって納めておいたのだが、今日も検索結果の考察やテキストマイニングの解釈が多様に筋良く提示された。最後のグループ発表会、今年はZoomでの実施を選択。先輩後輩、聴きに来てくれるといいな。

第13回: データ収集の実施,研究報告のまとめ方 [7/22]

英語教育リサーチメソッド。研究報告のまとめ方を駆け足で説明した動画の後、最後の発表に向けたグループ・ディスカッションと相談。後になって、説明もzoomですればよかったのではないかと気づいたが、午前中は原稿に時間を当てられたし、余裕を持って各グループの発表準備に集中してやり取りできたのでよかったとも言える。近づいてきた実習の相談も受けたり。このメンバーでありがたかった。良い発表会になりますように。

第14・15回: 研究成果発表/授業全体のまとめ [8/5]

ついに迎えた英語教育リサーチメソッドのグループ研究発表会。学内では英語科と私の授業履修者にリンクで連絡を投げて置いただけなのでどうなるかと思ったが、1年生から院生まで結構来てくれて、とても良い発表会となった。離れた場所で、あるいは集まって、Zoomで複数人で発表をする際に、発表者も様々に連携の工夫をしてくれて有難かった(このメンバーなら大丈夫だろう、とその辺は細かいことは言わずに任せた)。

内容に関心を持って履修者以外から質疑が多数あったことも嬉しいが、今日に結実して達成感を得る一方で、発表者が自分の研究に発表や質疑をしながらも既に課題を見出していて、満足していないところが何より素晴らしい。それこそがこの授業の到達を物語る。で、感想戦を始めたらやっぱり長くなって、でも一つひとつの発表を大事にしたかったので授業時間をはみ出して続けてしまった。みんなグッタリだと思うけど、長時間本当にお疲れ様である。

始まる前はどうしたもんかといちばん悩んでいたが、この授業ではSlack、Zoom、Miro、対面、ハイブリッド、みんなに相談しながら出来ることは全部試して、最後まで駆け抜けた。このメンバーだからできた。この授業のラストを飾るにふさわしい個性とグループの妙。今の状況で取り組まざるを得ない卒論・修論にも一筋の光明が見えた。ただただ感謝。