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著者本人とやり取りしている際に感想を聞かれてしまったので、紹介したい圧はベントされてしまったところはあるのだが、ご恵投いただいた、

は、われわれ世代の教育方法学者が集まって議論したら辿り着くであろう指針を、一人でまとめて代弁してくれたガイドライン。

先月半ば、本屋に寄って教育関係のコーナーを覗くと、おびただしい「ポストコロナ」の文字列が並んでいた。新型コロナウイルスって終息したんだっけ??そういうタイトルの本が1冊平積みになっているのではなく、「ポストコロナ」を冠した5、6冊の本が棚一段を埋め尽くしていて非常に気色悪く、「この業界はどうしてよく考えず、すぐキャッチーな言葉に飛びついてしまうのか」と、COVID-19さえ「流行」として「消費」しようとする奇怪さに憤りながら帰った。

本書も「ポスト・コロナ」を冠してはいるが、むしろ「公教育のリデザイン」以外の部分は逆張り的に用いられている。つまり、巷では「未来の教室」やら「ポスト・コロナ」やらが踊っていますが、今後の公教育のために落ち着いてそれについてよく考えてみましょう、ということだ。

第1章などは特に急ピッチで書かれたこともあってか(練りに練られた『授業づくりの深め方』と比べると)推敲の時間があれば、もう少し読みやすくできたのではないかと個人的には感じる部分もあったが、われわれが先生がたや保護者に伝えたいこと・考えてほしいことを漏れなく書いてくれていて、p. 22のオンラインの使い方の視点や、p. 36の(この間私がずっと気になっていて、かつて竹内常一さんなどが言っていたことであるにもかかわらず、管見の限り現場の先生たちからも教育学者からもあまり耳にしなかった)子どもの意見表明権のくだり、あるいはケアの視点などをベースに持ちつつ骨太の提言をしている辺り、石井さんの面目躍如という気がする。

それほど厚くない本だが、本当はこの10倍くらいは言葉が必要な話が詰まっていて、中身はかなり熱い。しかし厚くない分、手に取りやすい。「未来の教室」や「ポスト・コロナ」の浅薄な効率化・市場化を批判し、どう考えるべきかを示すガイドラインの一冊として、先生がたや、学校に関わりを持つ大人に広く一読を薦めたい。