レビュー
[本099] 石井(編)『リベラルアーツと外国語』

[本099] 石井(編)『リベラルアーツと外国語』

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良書。

英語科教育法で、シラバス編成原理としての言語・コミュニケーション・内容のそれぞれについてグループに分かれて毎週、議論を重ねてもらっているが、鳥飼先生に先日来てもらったというだけでなく、登壇者と司会進行役の石井先生のかけあいに知性と倫理が満ち満ちていて、前半に収録されたシンポジウムを参考文献として紹介することに決めたぐらい。小倉さんもキャンベルさんも、英語教育界隈の人から聞くことのない視点と語り口で、リベラル・アーツとはまさにこういうことかと教えてもらえるのが良い。

昨年7月に中京大学国際学部のイベントにオンラインで登壇してもらった際、鳥飼先生が触れた「共感」について、事後に関係者でやりとりしたメールの中で大津先生がPaul BloomのAgainst empathy(『反共感論』)をサジェストしてくれたのだが、キャンベルさんも本書の中で『反共感論』に言及していて知恵者のシンクロを興味深く思った。私にとってBloomはHow children learn the meaning of wordsの人だが、純粋に知恵を貪っていた院生の頃の授業を思いだす。

第1弾の『21世紀のリベラルアーツ』  を通じて、石井先生の「4つの限界からの解放」の議論に触れておくと、本書の理解がさらに深まる(論考によってはこちらを前提としているものもある)。石井先生は、東大シンポでご一緒して、ああ本当の知恵者とはこういう人だとつくづく実感した(というよりもあの場には私以外全員、知恵者オブ知恵者が集っていた)のだが、第2弾の本書でも受け方が賢者そのもの。さすがに中部大学がうらやましい。

と言及して、たくさん付箋が貼ってあるのに、前著を紹介する投稿を書いていなかったことに気づいたが、昨年『21世紀のリベラルアーツ』の方を読んで、担当する「入門ゼミ」で『大人になるためのリベラルアーツ: 思考演習12題』と『続・大人になるためのリベラルアーツ: 思考演習12題』を大急ぎで拝読し、すぐさま参考資料に使うことを決めたことを思い出した(今年も使った)。本書では、それを踏まえた中部大学での授業実践の様子も報告されている。うーむ中部大学やりおるな。

シンポジウムを受けた寄稿部分では、大野博人さんと田中純さんの論考が非常に面白かった。

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